イベントレポート : 960609 DIMENSION
※この記事は、本誌には未掲載のものです。
96/06/09 DIMENSION
3、4、5月と、たてつづけにフルアルバムをリリースするという離れ技をやってのけたDIMENSION。しかもその合い間に、渋谷タワーレコードでのミニライヴ(6th dimensionを買った人に整理券配布)を行なったり、音楽ニュース・HOに出演、もちろん義務である(?)他のBeing系アーティストへのサポートもこなしながらであるからこれは驚異的ともいえるペースである。(ミニライヴでない)ライヴは昨年12月以来であるが、結構いると思われるDIMENSIONおたくにとっては、待ちに待った、といったところであろう。実際、前にも見たことがあるような顔ぶれが数多く存在していた。リピーターの多さには驚かされる。
チケットは、1〜20番までピットインで、21〜50番までチケット・ぴあで、そしてまた51〜80番まではピットイン、という感じで販売されているようだ。前の方で見るためには、六本木に行って並んだ方がよいのではないだろうか。いずれにせよ、以前よりはかなりチケットが取りにくい状況になっているようである。
メンバーは、狭いDIMENSION界ではおなじみ、DIMENSION(増崎、小野塚、勝田)+青木智仁(bass)、石川雅春(drums)の大御所二人である。いままでのライヴでは、打ち込みは使っていなかったように思われるが、今回はいきなり打ち込みでのスタートだ。ただしこれは、『じゃーん!DIMENSION登場ー!はじまりはじまりー!』的に使われただけで、一曲目の演奏に入ってからは打ち込みは使われなかったようだ。
内容に関しては、前回のレポートでもよねよね氏が書いているが、前半、ややいつものキレがなかったように感じられた。やはりスロースターターなのだろうか。しかし、ハイレヴェルかつハイクォリティーなことは間違いない。また、それにも増してハイクォリティな(笑)MCでは、恒例となっている肉体の欠陥ネタ(撫で肩、アゴ等)の他に、
- 勝田氏のボサボサっと伸びた髪の毛に対し、増崎氏が「野口五郎みたいだ。」と 指摘。(大爆笑)これに対し、勝田氏は「失敬だな、君は!」と言っていたが、 以後、この「失敬だな!」は、勝田氏のキメゼリフとなっている。
- その日、増崎氏が着ていた黒い光もの系のシャツは(カッコいい!)、実は勝田氏 が買ったものだったが、ピチピチ過ぎて脇腹がハム状態であったため、増崎氏にあげたんだとか。
- 音楽ニュース・HOに出た時、勝田氏が森脇健児にもらったお酒は、レコーディング中にスタジオ内でディレクター氏に飲み干されてしまったらしい。しかも、飲み干したあげく、「おーーい!勝田ーー!もう一軒行くぞーー!」(スタジオ内)と言われたらしい。
- あまりにしゃべりが長かったので、増崎氏が、「また、インターネットでしゃべりが長過ぎるって怒られるよ。」と言っていた。どうやら、この時点でよねよね氏のページの存在に気づいていたと思われる。
といったお話で盛り上がっていた。
後半に入ると、演奏にも気合いが入り、素晴らしい演奏を聞くことができた。1つだけ気になったのは、前回(=6th dimension)もそうだったのだが、”Are You Gonna Win?"のテンポの遅さである。私は個人的には2nd dimensionに入っている位のテンポがカッコいいと思うのだが、これは個人の趣味にもよるところであろう。前回のよねよね氏のレポートにもあったことだが、インプロヴィゼーションが少ない、というのは、これはまさにその通りである。しかし、これは意図的であるように私は思っている。と、いうのは、DIMENSIONは、既存のフュージョンファンはもちろん、それと同等にフュージョン未体験の人をターゲットにしていると思うからである。逆に言うと、今はまだ CASIOPEAや T-SQUAREなどからファンを奪い取る段階ではない、との判断によるものかもしれない。こう考えると、一般のリスナーに受け入れられにくいインプロヴィゼーションを減らし、インストに不慣れなリスナーの為にMCを増やす、という戦略はすんなりと理解できる。また、フュージョンファンに対しても、CASIOPEA程リズム主体でなく、T-SQUARE程メロディ主体でもない、といった中間色を出すことによってアピールを試みているように感じられる。しかし、これは増崎孝司やDIMENSIONのCDにも書いてあることだが、彼らのライバルというのが、CASIOPEA,T-SQUARE,PRISMといった大御所と呼ばれるグループしかいないというのも事実で、現段階でこれらのグループと比較されるのはDIMENSIONにとっては酷だといえるだろう。しかし、DIMENSIONの持っているポテンシャルの高さは、決して他のグループにひけをとるものではない。かつて、B’zやTUBE、ZARDが、大御所ぞろいの日本ポップス界で、ある一定の地位を得たように、DIMENSIONが日本フュージョン界の一角をなす日が、そう遠くない未来にやってくるように感じる。
また、前回(95/12/17)の栗林誠一郎氏に続く今回のスペシャル観客として、TUBEの春畑、角野両氏が現れた。途中の休憩時間に現れたようだが、これは会場にいたほとんどの人が気づいていたようで、結構ザワザワしていた。演奏に入ると、特に角野氏は、青木大先生のスーパープレイに聞きほれていたようだ。しかし、アンコールが終ってみると彼らはこつぜんと消えていた。いつのまにか、楽屋の方に入ってしまったらしい。なんにしても、
Being界のほのぼのと(?)した友達関係をかいま見たような気がして、とてもいいライヴであった。 (のがん:感想などお寄せください)
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