3. 現在のビーイング

 この章では、ビーイングの現在の体制と音づくりの姿勢を見てみましょう。
 前にも触れたように、関連会社は40社以上もあります。しかし従業員総数はグループ全体で300余名しかいません。B-Gramなど年商130億円で社員数3人です(^^)。このような分社化については「ビーイングはあくまで制作集団であり、アメーバ的に変形可能なスペシャリスト集団という性格を守るため」(「日経エンタ」)と説明されているのですがが、実際には単なる税金対策でしょう(^^;;)。自前のアーティストが、突然自前のレコード会社内部で移籍したりするのも同じ文脈だと思われます。

主要な関連会社:

(株)B.M.F.統括
(株)シンクハウス総務
(株)トレジャリー人事・法務
(株)STEVE経理
(株)ルームスレコーズレコード会社
(株)ヅァインレコーズレコード会社
(株)ビーグラムレコーズレコード会社
(株)J-Discレコード販売会社
(株)Be Planningデザイン
(株)バードマン録音スタジオ
(株)M-FACTORY制作ディレクタ
(株)B-FACTORYスタジオエンジニア・ミキサ
(株)C-FACTORYビデオ制作
(株)エムアールエム雑誌編集・出版
(株)アディングプロモーション・アーティストマネジメント(生沢佑一(TWINZER)・岩切玲子(SO-FI)・瀬木佑美子(Beaches))
(株)ファーストシーンライタマネジメント(亜蘭知子・小田佳奈子・川島だりあ・多々納好夫・向井玲子)
(株)スペースパークアーティストマネジメント(大黒摩季)
(株)カラードアーティストマネジメント(近藤房之助・Quncho~)
(株)Seasアーティスト・ライタマネジメント(大島康祐(SO-FI)・坪倉唯子・DIMENSION・FUYUKI(FEELSOBAD)・葉山たけし・中島正雄)
(株)ラッドミュージックアーティスト・ライタマネジメント(高山征輝(ZYYG)・栗林誠一郎)
(株)EXIMアーティスト・プロデューサマネジメント(BAAD)
(株)イニシャライズライタマネジメント(明石昌夫)
(株)T'sコーポレーション織田哲郎個人事務所
(株)B.U.M.B'z個人事務所
(株)U.S.K.WANDS個人事務所
(株)T.B.O.T-BOLAN個人事務所
(株)サザンフィールド南野陽子個人事務所
(株)ZET全体の進行管理・統括
(株)BAHZHOUSE広告制作会社?
(株)L&R(不明です(^^;;))

主要な業務提携先:

(株)ぐあんばーるTUBE
(株)ホワイトミュージックTUBE(音楽出版)
(株)Bros柳原愛子:レイズイン(長戸弟)
(株)スターダストプロモーション坂井泉水(ZARD)・Mi-Ke・宇徳敬子・森下由実子・MANISH・中谷美紀・中原薫
(株)オフィス・フットワークスW-NAO・亜蘭知子:宅配便
(株)ドリーミックスKIX-S:ナベプロ
(株)ビーサイドDEEN個人事務所
(株)ビーヘッズFIELD OF VIEW個人事務所

音楽スタジオ((株)バードマン):

STUDIO BIRDMAN(3st.)
BIRDMAN WEST(2st.)
T's STUDIO(1st.)
MOD STUDIO BEING(2st.)
GARDENIA STUDIO(2st.? 3st.?)
DARIA STUDIO(不明)
(全11個のうち以上のものが判明(^^;;))

 もしビーイングなCDをお持ちなら、スタッフ一覧(最近のシングルCDでは省略されてますが)とこの表を照合してみてください。要は、ジャケットのデザインからレコーディングまでを一貫してグループ内で行っているんですね。
 自前でないレコード会社(ソニーとかコロムビアとか)から出されているCDの場合(TUBEとか)、原盤は100%ビーイングが持ち、CDマスタリングまでを手元で行い、レコード会社はただ製造して宣伝して売るだけなのです(^^)。しかも宣伝費はすべてレコード会社持ちで(笑)。さらに言うならば、印税率は他のアーティストよりも高いらしいです(^^;;)。
 さらにここ数年、<ZA>・<BVR>・<BG>といった自前のレコード会社を設立し、大黒摩季・WANDS・T-BOLANなどの売れ筋アーティストを他レコード会社から移籍させて、さらにさらに95年からはディストリビューションもJ-Discという自前の会社で行っています。これにより、売れ線のものに関しては「制作から販売まですべてをグループ内で行なう」という体制が確立されました。「(既成)レコード会社に媚びないでつくる」という長戸氏の大野望が、ついに達成されたんですね(^^)。
 そのような、これまでの業界の力関係、つまりレコード会社が上位に立つ構造を根こそぎ破壊するようなやり方を可能にしたものこそ、93年のビーイングの爆発的売り上げを招いた、タイアップなのです…

 クライアントから見たタイアップは、自社の商品・番組イメージを高めるための楽曲を、自社の要望を混ぜながら制作「させる」ことです。もしアーティストとクライアントで意見が食い違うような場合は、アーティストに「我慢していただく」のも当然です。もちろん、曲はヒットしてほしい。…このような要望にすべて答えることができるのが、ビーイングの制作体制なのです。
 クライアントからビーイングにタイアップ曲の依頼が入ります。すると、B.M.F.は、イメージに合うデモテープを、膨大なストックの中から100本以上セレクトし、クライアントに聴いてもらいます。これだけ聴かされれば、さすがに気に入られるものがいくつかできます(^^)。
 そして、それに対して数通りのアレンジ・数通りの歌詞がすぐに(本当に24時間体制で!)当てられ、さらに複数のヴォーカリストが唄入れを行います。そして、クライアントからクレームがつけば、超特急で手直しを行います。なにしろ自社スタジオ・完全自社スタッフで24時間体制のため、このような要望にも簡単に応えられるのです。
 ミックスダウン・マスタリングの段階では、様々なシチュエーション(ラジカセで聴く、ヘッドフォンステレオで聴く、カーステレオで聴く、…)での楽曲の印象を実験し、OKが出せるまでは何度でもやり直しさせます。
 最終的にクライアントがOKを出すと、唄ったアーティストによって、自動的にレコード会社が決まります(^^)。新人の場合は、適当に会社を決めます(笑)。後は、レコード会社にTVスポットを入れさせ(レコード会社の経費で!!)、ヒット、というパターンです。

 このような、クライアントにとってはいいことづくめの制作体制。しかしその過程では、レコード会社の介在が一切ないのです。レコード会社の役目は、営業と販売だけ。クライアントがビーイングを信頼し、レコード会社を軽視するようになるのは自然です。

 もちろん、以上のようなシステムがあっただけではコトは簡単にはすすみません。実は決定的かつ不可欠な要素があります。それは「ツルの一声」です(^^)。長戸大幸氏が号令すれば、誰もが従わざるを得ない、という集権体制があるからこそシステムが機能するのです。いくら「ビーイング系ミュージシャン」と言われようと、ミュージシャンである以上、プライドはあるでしょう(^^)。クライアントの、時として理不尽な手直し要求に不満を覚えることもあるでしょう(^^)。これに対する、唯一の有効な手段。それが長戸氏の一声!。あれだこれだとリクツをつけるよりも、ずっと効率的です(^^)。
 長戸氏の一声は、数少ないミュージシャンのTV露出の際にも発揮されます。本番のある日は自らスタジオ入りし、アーティストのTV写りをチェックしていました。ADとの大ゲンカなどの武勇伝も数多くあるそうです。
 TV露出のコントロールに続き、94年末からは、紙媒体での露出のコントロールもはじまっています。HMV・タワーレコードなどに置いてあるフリーペーパー「Music Freak」誌がそれです。内容を読めばすぐに気づきますが、洋楽はともかく、邦楽の記事はごくごく売れ筋なものを除けばすべてビーイング系アーティストで占められています(^^)。そのCDレビューはあまりにもすばらしい美辞麗句で固められており、思わず感涙してしまいます(笑)。毎号、巻頭インタビューには大物アーティストが登場!ぜひ、ご一読をお勧めします(^^)。

 現在、遅ればせながら、ホームページもオープン。小室グループのページが様々な仕掛けを凝らしているのに対し、こちらはすっごく、シンプルで、しかもかっこいい!(^^)。はっきりいって、企業ホームページとしては、かなりすばらしい部類に入ると思います。さすが、ビーイングですねっ!(^^)


(この章 了)





“2.長戸大幸史”へ戻る



この章のもくじへ戻る




もくじへ戻る