栗林誠一郎『遠く離れても』

栗林誠一郎『遠く離れても』 BMCR-6013 941021 released.

M01 Love Ya, Lady

M02 I Love You So

M03 帰らない季節
M04 誰かが待ってる
←ZARD(『HOLD ME』)
M05 遠く離れても
 KTV系「愛と疑惑のサスペンス」エンディング曲
M06 Don't You See What I Love

M07 永遠をあずけてくれ
←DEEN「永遠をあずけてくれ」
M08 残された夏
←何かのセルフカヴァー??
M09 いつでも君を見つめている

M10 カナリヤ
←ZARD(「もう少し あと少し…」C/W)
M11 Nobody Got It Right



 
 最新8thアルバム(実質上ソロのBarbierを入れれば9th)の『No Pose』もリリースされた栗林誠一郎。シンプルな、大きなメロディラインと、甘く切ない声質が根強いファンを持つ彼の、それまでの活動の集大成と呼べるのが、この、94年にリリースされた6thアルバム『遠く離れても』だ。
 自らが他アーティストに提供した楽曲3曲(1説によると4曲)を含むこのアルバムはこれまでのどのアルバムよりもキャッチーに仕上がっており、ビーイングの94年コンセプト「アルバムアーティスト」に沿ったつくり。個人的には最も聴きやすいアルバムだ。残念ながら、セールス面ではまだまだ、という感もあるが(^^;;)、「あまり売れて欲しくない。独占していたい(^^)」という気も、正直、ある(^^;;)。
 プロデューサは栗林本人。そのせいか、大島康祐アレンジの2曲を除き、音的な遊びの要素は多くなく、とてもオーソドックスなつくりである。ミュージシャンとしては、お馴染みDEMENSIONの面々に加え、我が最愛のギタリスト(^^)、DEENの田川クンも参加している(^^)。



・M-1 Love Ya, Lady
 作詞:栗林誠一郎
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho,key&b)・青山純(dr)・鈴木英俊(g)・勝田一樹 from DIMENSION(ts)・佐々木史郎 from ORQUESTA DE LA LUZ(tp)・木幡光邦(tp)・中路英明 from ORQUESTA DE LA LUZ(tb)

 95年のライブでもオープニングに使われた曲。現d.o.s.の西野妙子のアイドル時代のライブでも弾いている(^^)鈴木英俊のハードなギター、そして超有名メンバーばかりのホーンセクションが圧巻だ。
 詞は英語詞。もともと、栗林は曲づくりに際し、自ら英語詞を同時につくり、自ら唄ってデモテープをつくっているらしく、必然的に自作曲は英語詞が増えることとなる。この曲も、すっごくわかりやすい簡単な英語詞がうれしい(^^)。

・M-2 I Love You So
 作詞:小田佳奈子
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho,perc,key&b)・青山純(dr)・増崎孝司 from DIMENSION(g)・和原進(fh)


 初夏に海辺で過ごす2人を映しだすサウンド。特に凝っているわけではないけれど、DIMENSIONの増崎のギターがめずらしく(とかいう(^^;;))爽やかだ。
 最後の1人ハモリ(これ、10回以上は重ねていると思う)が、これ以上ないくらいの気持ちよさだ。トリップしちゃいそう(^^;;)

・M-3 帰らない季節
 作詞:小田佳奈子
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:大島康祐
 Musicians:栗林誠一郎(vo&cho)・田川伸治 from DEEN(g)・大島康祐 from SO-FI(key&prog)・岩切玲子(cho)


 出た!(^^)大島康祐サウンド!!(^^)
 もう、イントロを聴いただけで、大島サウンドの大ファンである私はしびれてしまう(^^;;)。タメまくりのベースラインを元に組み立てられた独特のグルーヴに、栗林と岩切玲子のコーラスが乗っているだけで、もうたまらないのだ…(^^)。
 低音域が心地よく響く岩切玲子は、サウンドが変わる前のSO-FIのヴォーカル(技術的にはかなり◎・ルックス的にはビーイングで最も×(とかいいまくり(^^;;)))、そしてジャズっぽいプレイのDEENの田川クンは、SO-FIに限らず、大島クン絡みのほとんどの曲でギターを弾いている(なんでSO-FIのメンバーじゃないのかしら?(笑))。言ってみれば、この曲は“SO-FI guest vocal:栗林”という感じなのだ。ただ、アルバムのライナーには、大島にはつけられている「from SO-FI」が、岩切につけられていない。つまり、現在のSO-FIのCDがリリースされる2年前のこの時点で、岩切の脱退?は決まっていた、ということなのだろう。

・M-4 誰かが待ってる
 作詞:坂井泉水
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho,key&b)・江口信夫(dr)・増崎孝司 from DIMENSION(g)・小野塚晃 from DIMENSION(p)


 ZARDのアルバム曲のセルフカヴァー。栗林版ならではの特徴もない…うーん、印象に残らないです(^^;;)。

・M-5 遠く離れても
 作詞:小田佳奈子
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho&b)・青山純(dr)・田川伸治 from DEEN(g)・Norihiko Suzuki(key)・Hironori Sawano(tp)・Hiroyuki Nomura(tb)・勝田一樹 from DIMENSION(ts)・山本千絵(cho)


 栗林は「白いMy Love」・「Good-bye to you」という2枚のシングルをリリースしているのだが、そのいずれよりも「シングルっぽい」のがこのアルバムタイトル曲。KTV系「愛と疑惑のサスペンス」のエンディング曲にもなっている。青山のドラムがとっても味があるとか、ホーンセクションの使い方がちょっと違うとかの特徴もあるが、栗林自身がのびのびと唄っているところがとってもうれしい(^^)。あと、JOYSOUNDに入ってて気軽に唄えるのもうれしい(^^;;)。

・M-6 Don't You See What I Love
 作詞:栗林誠一郎
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho,key&b)・田川伸治 from DEEN(g)・勝田一樹 from DIMENSION(ts)


 これはすばらしい。別の言い方をすれば、ヒドい(笑)。
 ちょっと聴いてみればすぐに気づくとおり、この曲、メロディからアレンジから、歌詞までもが、すべてGeorge Bensonの「Give Me The Night」のパクリなのだ(笑)。
 でも、これでよいのだ(笑)。なにせGeorge BensonはDEENの田川クンのmost favorite guitaristなのだから(^^)。あくまでもシャレなのだこれわ(^^;;)

・M-7 永遠をあずけてくれ
 作詞:川島だりあ
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎・池田大介(strings arr.)
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho&b)・青山純(dr)・田川伸治 from DEEN(g)・小野塚晃 from DIMENSION(p)・Junichi Hiiro String Quartet(string)


 DEENのヒット曲のセルフカヴァー。原曲では池森秀一の暑い(^^;;)ヴォーカルが心地よいのだが、こちらは一転して、栗林の淡々としたヴォーカル、そしてクラシカルな編曲理論も熟知する、ビーイングアレンジャー3羽烏(^^)の1人=池田大介のストリングアレンジによる静かな展開に仕上がっている。どちらがよいかは賛否両論だろうが、栗林ファン以外は「DEENの方がいい」って言いそうだなぁ…(^^;;)。
 なお、ギターは本家と同じく田川クン。ロングトーンが冴えてます(^^)。こちらはこちらで、DIMENSIONの増崎とかがプレイすればまた比較になったのに…って、ますやんのタメタメフレーズじゃこの曲に合わないか…(ってまたこんなこと書くからDIMENSIONライブで…(笑)

・M-8 残された夏
 作詞:小田佳奈子
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho,key&b)・青山純(dr)・和原進(tp)


 このアルバム中、最も謎を呼んでいる曲。というのも、この曲、当初のプレスリリースでは「他アーティストに提供した曲のセルフカヴァー」だとされているのだが、いざリリースされてみたら、そのようなコピーはどこにも見当たらないし、何人かの栗林マニアなひとびと(^^)が散々調べたにもかかわあらず、原曲が判明していないのだ。本当にこの曲はセルフカヴァーなのか、当初のプレスリリースが誤りだったのか、はたまた、原曲のリリースが幻となったのか…(^^;;)

・M-9 いつでも君を見つめている
 作詞:小田佳奈子
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo,cho,key&b)・江口信夫(dr)・増崎孝司 from DIMENSION(g)・勝田一樹 from DIMENSION(ts)・小野塚晃 from DIMENSION(p)・佐々木史郎 from ORQUESTA DE LA LUZ(tp)・木幡光邦(tp)・中路英明 from ORQUESTA DE LA LUZ(tb)

 この曲、私が思うに、DIMENSIONの最高傑作ではないかと思う(^^;;)。ベースは青木智仁じゃないけれど(笑)。大黒摩季「夏が来る」やらB'z「ねがい」やらでおなじみの「いつものフレーズ」が登場する(^^;;)小野塚ソロ、軽い音でちょっとタメてて、あくまでもますやんらしい上でちゃんとオシャレな(^^;;)増崎ソロ、厚いホーンセクションを従えて吹きまくるカツオくんソロ、どれもキラッ(^^)と光っている。ヴォーカルのバッキングでも、すっごくスパイシー(^^)。このグルーヴ感だと、ほんとに、青木せんせがベース弾けばカンペキだったんじゃないかなあ…(…栗林せんせのベーシストとしての立場は…!?(^^;;;;;;))

・M-10 Canaria〜カナリア〜
 英作詞:栗林誠一郎
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:栗林誠一郎
 Musicians:栗林誠一郎(vo&p)


 ZARDのシングル「もう少し あと少し…」(こちらは、Barbierでセルフカヴァーされてます(^^))のC/W。原曲はもちろん坂井泉水の作詞だが、こちらはもちろんもちろん、栗林自らの英語詞(^^)、前述のとおり、この英語詞の方が先にできていたはずである(^^)。
 この曲、たいていの通信カラオケに入っているのだが、栗林版で唄おうとすると、最後の最後、キメのフレーズが唄えず、そーとー悲しい思いをしてしまうので注意しよう(^^;;)。

・M-11 Nobody Got It Right
 作詞:小田佳奈子
 作曲:栗林誠一郎
 編曲:大島康祐
 Musicians:栗林誠一郎(vo&cho)・田川伸治 from DEEN(g)・大島康祐 from SO-FI(key&prog)・岩切玲子(cho)


 これもまたまた、大島サウンド(^^)。ラス前(^^)がピアノ1本のバラードなので、一転してビートをぶつけてきた感じ。といっても、もちろん大島クンの曲だから、そんなに激しいわけじゃないけど(^^;;)。毎度おなじみ田川クンソロも、この曲では、他のSO-FIの曲でのような典型的な音・典型的なフレーズがうれしい(^^)。エンディングの栗林・岩切・田川ギターのかけあいも楽しい(^^)。


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