第2部:「歌姫伝説」とP.S.M.について

 「歌姫伝説」は92年5月、原宿ルイードで行われた第1回ライブからはじまった。
 当初のコンセプトは「アイドル冬の時代、売り手サイドは活躍の場を失い、ファンは飢えている。ファンの立場からステージをつくりだし、アイドルを復活させよう」というものであった。具体的には、
(a) 既デビュー組へのステージの提供
(b) プレデビュー組のステージの制作
(c) 企画ものの制作
に分けられよう。
 (b)は、オーディション・歌謡教室などで活躍しているコ、モデルとして活動中のコ、諸事情で活動休止中のコなどが出演するステージで、内容は普通のアイドルイベントとほぼ同じである。それに対し(c)は、昔からのアイドルポップスをノンストップメドレーで唄ったり(NON STOP歌姫)、TPDのダンスサミットのコピーをしたり(チームSORATAI)、おニャン子解散コンサートのコピーをしたり(フェアリーテール解散ライブ)という、これまでプロの制作サイドがやってこなかったステージである。
 制作はP.S.M.というグループ。当時の主力メンバは、芸能カメラマンで原宿探険隊事務局にもかかわっていた早川氏、フリーのデザイナである野口氏、そしてコミックスクエアスタッフから編集者・現場マネまで、いろいろと業界周辺でうごめいていた池野氏である。現在は野口氏が抜け、代わりにクラブチッタ川崎で「歌姫伝説」に協力してきた吉川氏が入っている。他、現場スタッフとして、「けんと君」こと繁治氏と「くろやぎ」こと高橋氏などがいる。これらの人は、主力メンバとは違い、単なるアイドルファンが休日に現場を手伝う、という形で協力しているようだ。

 第1回は、果たしてどういう内容になるのかわからないままに、外道から一般ファン・カメコまで、ありとあらゆるひどい連中が集まってきた。結果として満足したのは外道ばかりだったのだが、それもムリはない。人選が人選だったのだから(笑)。目玉であった藤沢揚子(元平尾福岡校)が飛行機乗り遅れ(笑)で欠席したものの、久保山香(現木下優)・村木順子(現賀川煬子)・仲田薫理(元TPD)といった有名どころから持田真樹・吉野美佳まで揃え、なかなかの充実ぶりであった(関係ないが客で木原さとみなどがいたぞ(爆笑))。

 この企画が成功を収め、11月にはクラブチッタ川崎に進出。2日間・5部に渡るステージは一層の盛りあがりを見せた。特に第4部の「NON STOP 歌姫」は、そのツボを押さえ切ったあまりにすばらしい構成が感動を誘った。さらに、これ以降93年3月までの間、当時(株)九鬼で働いていた早川氏のコネクションにより、関連会社が所有する六本木のパブ「PAO」をほぼ毎日祭日に借り切り、ミニライブをとり行ってきた。プレデビューでは「アイドル四季報」の協力の下、田中裕美・鈴木晴美・金子さやか(がが)・小澤有紀乃・名越恵実といった大御所が登場、水野あおいや秋山久美のソロライブ、さらには木原美智子の「オタ少」なども行われ、極めつけであった2月の ENKA SUMMIT に至るまで、かなりの盛り上がりをみせた。
 早瀬真奈美(現久保田えみ)が歌姫に登場したのもこの時期である。

 この頃は、多くのマニアや外道がこの企画を支持し、会場に足を運んでいた。その理由はいくつか挙げられよう。

(A) スタッフの知名度が高く、「何かやってくれそうだ」という期待感があった。
(B) これまで見る機会がなかったようなプレデビュー組のステージが観られる。
(C) もう観られないとあきらめていたコのステージが再び観られる。
(D) 懐かしい曲をライブで聴け、懐かしいステージをライブで観られる。
 この頃は「アイドル四季報」がブッキングに協力していたこともあり、人材も比較的(あくまで「比較的」だが(笑))よく、またこれまでにない構成のステージからは「次はどんな曲目か?」という興味も尽きなかった。

 そんなPAOだが、突然閉鎖されることが決まったため定期ライブは3月で終了。それと前後して第3回ライブが行われた。当然ファンは第2回ステージを上回る内容を期待していたのだが、三浦理恵子のステージ上での処遇等々の問題により、いささか消化不良に終わる。と同時に、三浦理恵子めあてでやってきた塾系ファンの口汚い「声援」(NON STOPで、実際に唄っているコの名前でなく、原歌唱者の名前をコールする)が問題となった。
 主催者は、CoCoを客寄せパンダとして塾系ファンを集め、収益を上げるとともに、より多くの一般アイドルファンにプレデビューを見せていこうとしたようだ。
 しかしだ。今時、自分から情報を求めてうごめかないようなアイドルファンが、ルックスもさほどよくない(「さほど」程度に留めておこう。筆者には愛があるから(笑))プレデビューにハマるはずはないのである。
 そういう表面上での問題が出てくると同時に、我々は、酒を飲むとべらべらとしゃべる主催者から、様々な裏事情をも聞くことになっていくのである…。

 ここで当時の早川氏の、酒の席での発言をいくつか引用してみよう。

・1回デビュー前にプロデュースしてみたかったのが山田純世と高橋美代子と田中裕美だったの。高橋はダメになっちゃったけど、他2人ができたんで満足。
・かわいくないコは出したくないから、鈴木晴美はもういいです。
・今後デビューしたいとか思っているコは、歌姫には出してあげません。
 無論これは酒席上の話であるから、多少は話が大きくなっている可能性はある。しかしたとえそれを割り引いて考えたとしても、その意味は決して軽くはない。
 上記の発言に共通するものは何か。それは、早川氏が「歌姫伝説」を、出演者一人一人の素材を活かすというよりも、自分の思い通りのステージを実現する場として捉えているということである。更には、メジャーでは使いようがないようなコをコマとして活用しているということである。
 ちなみに、ここでいう「かわいくない」というのには注意が必要である。早川氏の「かわいい」には、ルックスという観点は一切ない。単に「自分のいうことをよく聞いてくれる」と同義なのである。一時期連れ歩いていた小口未記、片山春華、浦上由紀子(現梶浦あき)といった面々を観ればそれは明らかであろう(爆笑)。
 つまり、早川氏の思いは、結局のところ「自分の言うことを聞くタレントをコマのように動かしたい」という欲望にすぎない。そして、「メジャーシーンでは使い物にならないようなコを使ってなんとかやっている」という、自信に満ちた態度が背景にある。
 もちろんこれは演出家であれば当然持ってしかるべき欲望であるから、それ自体は非難するにあたらない。事実、そういう面での早川氏の才能は高く評価されてしかるべきものでもある。筆者がこの時期までに足しげく「歌姫」通いをしてきたのも、決して安くないチケット代を貢いできたのも、個々の出演者を観たいと同時に、あるいはそれ以上に、早川氏のステージが観たかったからである。
 しかしそれは、コマが早川氏を信頼し、自分がコマであることを自覚している状況でこそ正当化されるものだろう。もしコマが「ここで頑張れば将来があるかも知れない」と思い込んでおり、そして早川氏が何も言わずにそのコマを使いつづけているとしたら…。それは立派に「純真なコをだましている」と言えるのではなかろうか?
 早川氏と言えば、先のH君入場拒否事件にも直接は関っていない。いわばP.S.M.内「良識派」である、という認識はかなり浸透しているようである。もし仮にそうだとしても、「他人は関係ないよ」という態度は論外だとも思うのだが、筆者からすれば彼は「良識派」でも何でもない。もし良識があるのであれば、自ら手を切った鈴木晴美の、忘れ物(ステージ衣装だ)を1年間も手元に放置しつづけるようなことはしまい...

 筆者が個人的にP.S.M.のやり方に疑問を抱きはじめたころ、一部アイドルマスコミから非難の声があがりはじめた。もちろんこれは、CoCoを出してもらってキチンとギャランティも受け取っている尾木プロのにらみが効く「BOMB!」や「momoco」ではなく、「投稿写真」からであった。連載記事「イベント・ホット・ライナー」には執拗なまでの(笑)批判、というより単なるイヤミが毎月掲載される(笑)。その批判の肝はまさに「ファミコンカセット抱き合わせ商法」すなわち、CoCoをはじめとするメジャーアイドル観たさに高いチケットを購入すると、セットで非常に質の低いモノを見させられるハメになることにあった。この批判を書いている人は筆者から見れば十分外道なんだ(爆笑)が、ただこの声は多くの一般ファンにも共通していたのではないかと思う。
 さらに、これと並行して、一般ファンでは物足りず、かといって外道までは墜落したくない、という一部マニアもこのころ一層と批判を強めている。彼らにすれば、「歌姫伝説」は「アイドルステージのあるべき姿」を目指しているのではなく、それのイミテーションを内輪で行っているだけではないか、というわけだ。メジャー化指向もなく、閉鎖的なチケット販売方法(H君事件参照)を取り、(将来を考えれば)本来厳しく批評すべきタレント予備群をチヤホヤしているのは、まさに「アイドル」になれない出演者・「アイドル仕掛け人」になれない演出家・「アイドルファン」になれないマニア(!!)の三位一体「アイドルごっこ」に過ぎないのではないか、と。
 そして一部業界関係者からは、最も辛辣な批判がなされた。すなわち、「本来才能のないコはステージに立つべきではなく、そういう場を提供するのは芸能界にとってマイナスですらある」というものである。才能のない人間はもし偶然売れたとしてもやがて淘汰されてしまうのだから、そういう人は「夢」をあきらめて普通に生きる方が色々な意味で幸せであり、「夢」をいたずらに煽るような場は存在してはいけないということであろうか。

 これらについての筆者の私見を述べておこう。
 まず「ファミコンカセット商法」であるが、この当時は出演者もあらかじめ告知されていたのであり、「抱き合わせ」は詐欺(刑事的な意味ではなく、社会通念的な意味で)にはならないだろう。どうしても見たくなければ、観に来ないなり、自分が観たいメジャーアイドルの事務所に抗議するなりすればいいのである。ただし先にも触れたが、こういう客を入れることでライブの雰囲気が悪くなったことは事実であり、むしろ逆の意味でよろしくないやり方だったとは思う。
 「アイドルごっこ」という批判は全くそのとおりで、反論の余地は一切ない(笑)。ただし、「ひどいひと」からすれば「…だから?」ということになるだろう。例えればSMクラブのようなもので、そこで社会通念上「よろしくない」(もちろん犯罪にはならない)ようなことが全員の納得ずくで行われているとして、それを誰に批判できようか?
 それから「才能のないコはステージに立つべきでない」という意見には、にわかには賛成できない。「才能のないコ」が一切発表の場を持てないとすれば、それによって埋もれる才能が出てくる可能性もあるし、また「夢」をあきらめず、それが実現もせず、ずるずると中途半端を続けて行くことが普通の人生に比べてくだらない、などとは誰にも決められないことだ。
 しかし。以上のような筆者の反論は、すべて「出演者本人の納得ずく」を前提としたものである。もしもそのコが、SMクラブにだまされて連れてこられていたとしたら、もしもそのコが、その「夢」が努力次第できっとかなうだろう、と信じこんでいたとしたら、その前提は崩壊する。
 そして「歌姫伝説」は..

 PAOが閉鎖された後、池野氏は、スターランド(以下<SI>と略記)に入社する。これにより、「歌姫で実績を積めば、デビューへの道が開かれるのではないか?」という幻想が急速に高められた。現に池野氏は6月頃「9月から連続3ヶ月間、デビューを確保した。第1弾はMelody、第2弾は菊地奏衣と渡辺幸恵、で第3弾があいてるから、ここに歌姫を持ってきて…」などと周囲に豪語していたものである。

 そう、「歌姫」を考える上で落とせないのが、フェアリーテールである。5/24「大おニャン子祭り!」と 9月中旬の東名阪「解散コンサート」は制作がP.S.M.だった。ここで物議をかもしたのが、解散コンサートである。
 ご覧になられた方はご存じと思うが、既にデビューが決まっていた菊地&渡辺、つまりTiaraが、水野あおいを尻目にアンコールでデビュー曲を唄ったというわけだ。つまり水野は思いっきり、<SI>のデビューキャンペーンの露払い役にまわされたのである。この構成にはさすがにP.S.M.内部でも異論が出たようではあるが、結局は池野氏の強引な押しが通ったのだった。
 池野氏のこういったやり口は、「歌姫」総体を貫いている。他の2人に全く相談もせずにイベントを組み仕事だけを押し付け、自分は酒飲んでがーがー寝ていたり、客が起こしたトラブルは他の人に任せて傍観していたり..。まぁそれを他スタッフが咎められない以上、全員の連帯責任ではあろうが。

 その池野氏と、かなり接近をしていた女性がいる。久保田えみというコ(爆笑)だが、彼女そのものについては第4部で詳細に検討するので、ここでは事実関係のみを追っておこう。
 彼女が、以前所属していたフリー・ビーに、「事務所サイドの契約不履行」を盾に契約破棄を通告した後。池野氏は彼女を現Tiaraの所属事務所社長であるS氏に預けた。当然この時点で、P.S.M.および池野氏は、久保田の仕事に関してはS氏を通して話をしなければならないハズである。しかるに池野氏は、勝手に個人的に久保田と連絡をとってCoCoのチケットを売らせたのである。S氏にしてみれば、一旦預かったタレントを勝手に呼び出したりされてはたまらないし、預けられたタレントの自覚も問いたくなるのは当然で、この話は破棄され、再び久保田はP.S.M.預かりとなったという(爆笑)。

 …しかし「P.S.M.預かり」とは、よく考えると妙な話である。P.S.M.は本来「ステージの制作」を主目的に活動していたハズなのに、いつのまにかタレントを多数「預か」り、タレント(なのか?(笑))マネジメントも行うようになっていたのだ。これがまた、「担当制」ともあいまって問題のタネになっているのである。
 「担当制」とは、各イベント・ステージ毎に担当者がおり、制作などはすべてその担当者が総責任者となって行うこと、そして「預かり」が出現してからは、その預かりタレント1人1人に担当が決められ、管理なりマネジメントなりを行うことを指す。担当者間の連絡が密であれば、あるいは担当者1人1人の責任が明確にされるような組織体系であれば、これは「各担当者の力量を活かす」という点で何ら問題ない制度だろう。しかし…ってこの後は書かなくてもおわかりいただけよう(爆笑)。
 そもそも P.S.M.の「預かり」は、その趣旨から言えば、「イベンターが所属事務所のないコの連絡窓口になる」という、4℃ Styleや田中ひろみと同じケースとなるはずである。現に池野氏は「P.S.M.はプロダクションではない」と再三発言しているのだ。しかし現実には、“「歌姫」のステージに上がる”ことを餌として、様々なプロダクション的拘束が存在するようであるし、また池野・早川両氏の振る舞いもまさにプロダクションサイドのそれである(ただの預かりタレントへのファンからの手紙を勝手に開封して読むなど、その最たる例であろう)。しかもその拘束の度合は、池野氏がそのコを「気に入っている」かどうかで恣意的に決定されているようなのだ。これまで触れてきたような池野氏の手法を見ていれば、セクハラまがいのスキンシップを、いやいやながら「ステージのため」とばかり受けてしまうコが出ても不思議ではない。

 水野あおいが「歌姫」を離れ、前後して久保田えみの「友人」たちである元乙女塾生たちが、そして久保田えみ-あがりた亜紀をメインとする「芸能界交友ライン」からも「歌姫」に流入。このころから、いわゆる「塾系」つまりCoCoやribbonなどから流れてきた客が主流を占めるようになる。CoCoをはじめ尾木プロからの出演者も大ライブごとに毎回あり、御用アイドルマスコミにも礼賛記事がぼつぼつ載るようになる。こうなると、必ず2つの流れ、すなわち「外道は離れる(大爆笑)」「他の事務所が出演させようとする」が出てくる。これにより、口うるさい外道を一掃し、さらに出演者の供給も確保することが可能になってきた。収益の方も順調に上がってきたようだ。ただしもちろん、P.S.M.はこの時点では会社組織でもなんでもなく、申告もしておらず、当然脱税しまくり状態なのだが(爆笑)。
 この後、いかにも早川氏らしい、「De・View」に告知を打って集めた「歌姫オーディション」を実施。もちろんこれはインチキオーディションもいいとこ(笑)。私はなぜか早川氏からK.M.のデモテープ(「ムーンライト伝説」の他に、ZARDとか松田聖子も入っていたな(笑))を聴かされ、「どう使うのがいいかなぁ」なんて意見を求められたこともあったらしい(笑)。あと、超人気ミュージシャンB.G.B.と同じ事務所に所属する人気タレント(笑)A.Y.を妹に持つ元証券会社社員のA.K.とかいう人(って誰だよ(爆笑))が履歴書を送ってきて、早川氏が原宿で密会したが使い道がなさそうなので困っていたら、妹が猛反対したためオーディションに欠席した、とかそういうのはどうでもいいか(^_^;)。

 しかし時がたつにつれ、業界にも「歌姫」の何たるかがかなり浸透してきたようだ。結局のところ、それは「自分ところのタレントが『客寄せパンダ』にされているのではないか?」という、極めて正当な疑念である。まともな告知がなされていたとしても「ファミコンカセット抱き合わせ」なのに、パソコン通信・口コミなどを通じ、わざと誤解されやすいような情報の流し方をして「xx日には xxxxxxが出演するかも知れない」などというウワサが流れるように仕向け、チケットを売ろうとしているようでは論外だ。これを知った、某超有名グループをマネジメントしているえらいひと、「俺の眼の黒いうちは、歌姫には出演させん!!」と怒ったという。当然だ。
 もちろん、池野氏が「歌姫」以前に積み重ねてきた芸能界内での放言・失態の数々は、業界ではそのままP.S.M. と「歌姫」への信用度につながっている。ほとんどのプロダクションは、その実体を知りつつも、「他にステージがない」「アイドルマスコミに取り上げられやすい」という消極的な理由で、あるいは本人の希望に負けて、所属タレントを出演させているのである。
 現在池野氏は、Tiara関係でも方々を散々汚しまくった挙げ句、<SI>をクビ同然で退社。そのあたりの事情の一端は、EYE-NETのTiaraボードで伺い知ることができる。

 もちろん、そうでない、「歌姫」に協力的な事務所もある。言うまでもなく、プロダクション尾木だ。
 この不況期に、CoCoのメンバのかなり高額なギャランティを何度も払ってくれるP.S.M.は、かなりありがたい存在である。昔から予定されていた、そしていよいよ現実のものとなった解散後のソロ活動への準備としても申し分ない。もし他でうまくいかなければ、歌姫に出してさえおけば活動のアリバイも作れるのだから。P.S.M.は、この尾木プロからの協力を勝手に「尾木プロからの信頼」と読み替え、自らの信用を上げるために活用してきた。また公言はしないものの、預かりタレントたちへの希望=幻想を抱かせる材料にしてきた。どころか、池野氏は「尾木プロは歌姫のために動くぞ」などと豪語しまくっていたものである(笑)。
 しかし実態はどうか。P.S.M.スタッフである繁治氏がCoCo追っかけであったことが、尾木サイドをかなり硬化させたこともあった。一時、尾木は彼を自社タレントのステージでのスタッフから外すことを要求し、かなりもめていたようである(結局は尾木側が折れ、彼はスタッフを続けている)。

 P.S.M.は10月には有限会社になり、税金対策も正規に始めるようだ。
 ここまでバッシングされても、毎月のライブには40~80名もの動員があり、この不況期のライブハウスにとっては大お得意様状態。現在は四谷フォーバレーがメイン会場であるが、これまでハコとして使ってきたPAO・ポッパーズ・深川座のように閉鎖に追い込まれるようなことがないように希望したいものだ(笑)。
 ただ、出演者はほとんど変わり映えがない。いつもの常連と、尾木プロ所属タレントがほとんどである。そのためか固定客は漸減傾向にあり、ついに次回の「歌姫伝説7」は、明治大学の学園祭として行うことになったらしい。SKiも出演するようだが、PTAコミティはこの状況を一体どう考えて出演を承諾したのだろうか??

 最後に、現在の歌姫たちにぜひ訴えておきたい(ってこれ読まれるのか?(^_^;))。

 まず、あなたたちがステージに立てるのは、あなたのタレントとしての才能に優れたものがあったからのではなく、たまたまあなたが池野氏あるいは早川氏のおメガネにかなったからなのです。
 そしてそのステージに立っていても、あなたは池野・早川両氏のコマに過ぎないのです。舞台度胸はつくかも知れない。でも、あなた個人が持つ輝きは、そういうステージでは決して磨かれることはないでしょう…。あなたの芸を厳しく論評してくれる客も、もうあまりいません…。
 かつて早川氏は言いました。「今後デビューしたいとか思っているコは、歌姫には出してあげません」と。池野・早川両氏は、よそから声がかからない限り、あなたを歌姫に縛っておこうとしているのです。そして、もしあなたにメジャーデビューする力量があったとしても、P.S.M.の悪評は、あなたに声をかけさせません…。
 それを全部わかった上で、青春のひとときを、芸をまともに見ないチヤホヤばかりする客と一緒にすごすだけで満足できるのであれば、どうぞ歌姫を続けてください。



(第2部 了)




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