算数と数学

※この文は、いずみがかつて勤務していた塾で配布した案内文に加筆・修正したものです。
※大幅に加筆した部分は、この色になっています。

実際の問題から、「受験算数とは何か?」を考える。

 中学受験の算数は、小学校で学ぶ算数とは質的に全く異なります。例えば、通常の学校教育では中学校・高校で学ぶような事項、最悪の場合高3までに全く学べないような問題までも、出題されているのです。
[問1]1000mの道のりを、途中まで毎分200mで走り、途中から毎分250mで走ったところ、4分30秒かかった。速さを変えたのは、スタート地点から何m先か。

[問2]9でわると5あまり、4でわると2あまる3けたの数は全部で何個あるか。
 問1は、通常は中1の「方程式の応用」の範囲となります。また問2は、一見「約数と倍数」という、小5で学ぶ単元に属するように見えますが、実際にこのタイプの問題を厳密に掘り下げる機会は高3までの12年間に全くなく、理系大学の入試レベルです。
 しかし、これらの問題も、「中学入試」というワク内では、どちらも「基本問題」ということになります。特に問1は基本中の基本なのです。

 なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

 もちろん、小学校での算数と中学入試の算数に格段の差があるのは当然です。そうしないと、全問正解者が続出してしまい、「点数の高い者を選抜する」という入学試験の目標が達せられないからです。
 では、中学入試の出題者は、問題を難しくするために、わざわざ中学・高校・大学入試などから題材をひろってきているのでしょうか?やはり文部省が毎年発表しているように、私立中学校の出題は、小学生が解く問題としては不適切なのでしょうか?

 私どもの結論は、「中学入試の算数の問題は、まさに、小学生がチャレンジするのに適切な出題である。」です。

 もちろん、出題される先生方は、問題のネタを中・高、あるいはそれ以上の高度なものから得ることも多いとは思います。しかし、中学入試では、1次関数も、2次方程式も、微分・積分も出題されていません。つまり、出題者側は「小学算数(「小学校の算数」とは違います)とは何か?」を熟知しており、あくまでもそのワク内で解くことができる問題のみを出題しているに過ぎないのです。

 「算数と数学の違い」。ここにこそ中学入試算数の核心があり、指導教師がこの点を理解しているのか、その上で「算数らしい」解法を分析しているのか、また逆に「算数ならではの落とし穴」を熟知しているのか、によって、お子さんの学力はまるで違ってくる、と言えます。



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