第1部:「H君入場拒否事件」の全容

(A) 94年6月5日に、P.S.M.が主催して行われた「歌姫伝説DJナイト」において、会場入口に、「H君の立ち入りを禁ずる」旨の掲示がなされる。
(B) H君はそのイベントの正規チケットを持っていたが、入場できず。チケットの払い戻しを請求するが、拒否される。
 事件そのものはこれだけである。歌姫伝説の1ファンが、主催者から「入場拒否」通告を受け、購入したチケットの払い戻しもならなかったというだけである。
 「だけである」とは書いたが、要はH君がP.S.M.から公の場で辱めを受けたということだ。
 もちろん、これまでP.S.M.はこんな強権発動はしたことはなかった。隠し撮りを咎められるやスタッフに殴りかかったチンピラカメコに対してすら発動されてはいなかったのだ。ではなぜこんな掲示がなされたのか? そもそもH君は何をしたというのか?
 P.S.M.からの公式な説明は未だにないが、実は前日、原宿ルイードにて、秋山久美のライブが行われている。主催者はP.S.M.ではなく、Tiaraの所属事務所であるエンドレスオフィス。H君はこのライブのスタッフとして動きまわっていた。これがP.S.M.の主力メンバである池野氏の逆鱗に触れたのである。

 言うまでもなく、秋山久美は第3回ロッテやアイドル共和国オーディションを経てTPF(大昔存在した、TPDの2軍(笑))で活躍、その後「歌姫入り」?し、ソロライブなどもしばしば行ってきた。この「歌姫入り」というのが微妙な表現である(笑)が、要するに「P.S.M.預かり」ということだ。本来 P.S.M.にはタレントマネジメント機能はなかったはずなのだが、事務所所属でない出演者の連絡 窓口の必要性から、次第に預かりタレントの数は増えていった。彼女もそんな1人であった。
 将来の飛躍を夢見て(そんなの本当に夢だ、という指摘はさておこう(^^;))頑張ってきた彼女。だからこそ池野氏の「事務所を紹介してやる」「オリジナル曲を作ってやる」との言葉を信じ、「スキンシップ」にも耐えてきた彼女だが、一向に進展のない状況…。94年2月20日のライブで、「次はどういう形になるかわからないけれども、いやじゃなかったら見に来てください。」と言った時点で、彼女は「歌姫」から醒めていたのかも知れない。

 「預かり」であること、それ以前にP.S.M.がエエかげんなことから、正式な契約書類はまったく交わしていなかった秋山は、その後P.S.M.へ特にことわりをするでもないまま、6/4のライブに出演を決意する。「正式なことわりがない」=「筋をとおしていない」=「まだウチの預かりは解消されていない」と認識していた池野氏は、このライブの手伝いで動いていたH君に「手伝わないように」と警告。H君がこれを最終的に拒絶したことにより、6/5の貼り紙に至ったというわけだ。

 この事情で見る限り、秋山側にも「筋を通さなかった」という面で非は確かにある。またH君も、ライブをスタッフとして手伝った以上、この件については「一般のファン」という立場のみではいられないだろう。
 そんなわけで、この件を「業界関係同士のよくあるトラブル」だと認識する向きもあるようである。しかし、そうではない。これは「業界同士のトラブル」とは到底言えないのだ。

 このライブ、主催はエンドレスオフィスだが、秋山はあくまでもフリーの立場で出演している。従って、P.S.M.がクレームをつけるべきは、まずはエンドレスオフィスであり、秋山本人のはずだ。しかしこのいずれにも、公式なクレームはない。どころか、池野氏の元上司であったエンドレスオフィス代表のS氏は、この後の歌姫イベントに堂々と入場しているのである!!。つまり池野氏にとっては、「秋山が筋を遠さなかったこと」それ自体はどうでもよく、「入場拒否」はただ単に H君に対して自分が持つ権力を行使し屈辱を与えるのが目的だったのだろう。

 H君は、元々池野氏とは増田未亜おっかけとして知り合い、「歌姫伝説」後は「歌姫チケットブローカ」として有名だった(苦笑)人である。彼は、歌姫の各公演のチケットを整理番号1番から押さえまくり、それを仲間うちでノープレミアムで転売していた。ノープレミアムである以上、売れ残りが出たら確実に自身が損を被るのだが、それでも彼はバイト代をつぎ込んでこれを続けていた。
 これは非合法ではないが、当然ながら一般ファンの反発を食らった。彼と友達にならなければ、よい席が得られないのだから。当時「歌姫」のチケットは、次回公演分を公演会場内で開演前に販売するスタイルをとっていたため、彼は永久機関的に整理番号の若いチケットを押さえ続けることができた。

 P.S.M.は、この反感を、今回の件で最大限に利用することができた。多くの狂信的歌姫ファンは「どっちもどっち」「H君はああいう人だから」「おれたちには関係ないや」と思っているはずである。
 もっとも、これをきっかけにP.S.M.に見切りをつけた人も少なくない(笑)。ただ、狂信的ファンがお金をこれまで通り自分たちに落としてくれさえすれば、外野の批判はどうでもよいのだろう、P.S.M.にとっては。

 さて、以上が(A)の入場拒否そのものに関する話であるが、もう1つの、しかもこれは P.S.M.側の弁解ができない(B)。ここでもまた、P.S.M.の無責任体質が露呈した。
 チケットに「入場拒否されることがある・その場合返金しない」と明記されているのならともかく、そうでないところに一方的に入場拒否され、チケット代も払い戻ししないというのはどう見ても筋が通らない。一部には、H君が例によってたくさんチケットを購入しており、その内自分が見るための整理番号1番チケットが既に売りさばかれていることから「払い戻しの必要はない」などという暴論を吐いている輩がいるようだが、複数のチケットのうちどの整理番号で入場するかどうかはH君が勝手に決めてよいことであり、当然1枚分については払い戻しはなされるべきである。
 さすがにそのあたりに気づいた、もう1人のP.S.M.主力メンバである早川氏、6/25にH君との間で、野次馬数人を交えて(笑)話し合いをもった。席上、早川氏は「6/26にチケット1枚分は払い戻す」ことを約束。しかし H君が指定の場所に出かけて行ったところ現場スタッフは「そんな話は聞いていない。払い戻しはできない。」!!!!
 あまりにすばらしくて声も出ない(爆笑)。およそまともな組織であれば、これだけ問題になっている件の処理について、最高幹部間で意志疎通が図られていないことなどありえない。こういう連中が我が娘をもてあそんでいるという実態を、歌姫の親ごさんたちはわかっておられるのだろうか??
 結局この問題、はじめ熱心に言論活動を行っていたH君自身の熱が冷めてしまい、その後何の進展もないままうやむやになってしまった。筆者は当事者ではないので、この現状に何の苦情も述べられない(どうせならH君にはやるところまでやってほしかった、というのが正直な気持ちではあるが(^^;))。

 この件をきっかけとして、EYE-NETの歌姫伝説ボードでは、P.S.M.に対する批判が噴出した。それに対してP.S.M.サイドは、ただひとこと、およそ日本語になっていない「おことわり」を発表した以外、沈黙を守っている。その「おことわり」、筆者がつたない日本語認識能力でなんとか解読したところによれば「文句はここに書くな、質問があれば内容証明でも送れ。」という趣旨のもの。結局P.S.M.がEYE-NET のボード運営で目指しているのは、「チヤホヤ系の書き込みばかりの、一切の批判を認めない」オナニーボードなのだろう(笑)。



(第1部 了)




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