第3部:ドキュメント歌姫

※この文章は架空のものであり、登場する人物・団体名などは、実在のものとは関係ありません、ということになっています(笑)。

※93年x月xx日~x月x日

 今日は「ぴあ」のイベントで渋谷109で歌姫伝説のチケットの発売&フェアリーテール+歌姫の握手会があった。
 イベント終了後、N氏、明日の「I.N.バースデーライブ」で発売される「歌姫伝説4」の通し券と注意書チラシ等の製作があるのでI氏たちと別れてP.S.M.の事務所へ向かった。別れ際、I氏はN氏に「カラオケをライブの順番通りにつなぐのはオレがやるから、1.5に編集したりするのはやってよ。」と告げた。N氏、「そのぐらいはやってあげられますが、チケット作んなきゃいけないから…、でもすぐに帰って来て下さいよ。」と答える。I氏はタレントK.E.とともに渋谷の町に消えて行った…。
 さて、その夕方。タレントI.N.から事務所に電話がかかって来た。「Iさん、いらっしゃいますか?明日の曲とか全然決まってないんですけど…」I.N.のライブはI氏担当だった。「げ、なにそれ。じゃポケベルならしてみるよ」とN氏、ポケベルを鳴らす。しばらくして、I氏から電話が入った。N氏、I.N.が困ってる旨を伝える。「あともうしばらくしたら帰るよ。」とのこと。
 時計は8時を回った。しかしI氏はまだ帰ってこない。再びI.N.から同じ内容の電話が入る。また同じ事をくりかえすN氏。しかし電話は返ってこない…。しかたかたなく留守番電話に入れる。
 時計は12時をすぎた。そろそろヤバイ。N氏、I氏の部屋を漁って明日の曲の覚え書きと思われる紙をコピーして有事に備えた。
 1時過ぎ、I氏がやっと帰って来た。どうやら酔っているようだ。なぜかHくんも一緒だ。「何してたんですか、I.N.が困ってますから、連絡してくださいよ。あと、カラオケ、作らないと間に合いませんよ」とN氏。ところがI氏、「カラオケの編集を全部やれ」と言う。
「僕はチケット作んなきゃなんないんですけど。」
「カラオケ作ってくれないのか。作ってくれないんなら、もういいから出ていけ!」
 突然怒るI氏。ムッとするN氏。
「(何言ってんだ、この人は…)カラオケは曲順につなぐのはIさんがやるって自分で言ったじゃないですか!」
「うるさい、作らないんなら、出ていけ。明日中に荷物まとめろ。」
 玄関でしばらく押し問答が続く。だめだ、こりゃ、酔っぱらいは相手にならん。とにかくチケットを作らなければ、とN氏、2Fの事務所に戻る。
 3時ころだろうか、しばらくしてH氏がやって来た。どうやらI氏にカラオケを作るように言われて自宅からレガシー飛ばしてきたらしい。N氏はどうにか、チケットを作り上げた。と、その時、I氏が上がってきたので「こんなんでどうでしょうかね」と聞くN氏。
「もういいって言っただろう、やんなくていいよ。」
 …だめだこりゃ。本格的に酔ってんのか?と あきらめ顔のN氏…。

 そして夜が明け、レガシーに荷物を積み込む。I氏はまだ寝ている。いい身分だ。他のスタッフは徹夜で眠そうなのに…。イベント前はいつもこうだ。
 ライブ会場ポッパーズで仕込みの準備をしていると、I氏がやってきた。開口一番、

「もういいって言っただろう。帰れよ。」
 ここまでになるとさすがのN氏も頭に来る。たちまち口論になり、H氏、仲裁に入る。とりあえず、今日のところはこの場から N氏が消えることで収めることに。
 「今日のライブはI氏担当だから、ま、しかたない。しかし、このままでは納得できないのでライブが終わったらちゃんと話をつけよう」N氏はそう思い、一旦引き上げ、終演を見計らってポッパーズに行く。するとなにやら様子がおかしい。聞くところによると、フェアリーテールが歌ってる時、客がカメラ撮影をしていて、それを注意したM氏が殴られたという。混乱していて、先の話どころではないらしい。外ではH氏とM氏、そして殴った加害者が話し合いをしていた。I氏は腕組みをして見ていた。ライブ担当はI氏なのになんでH氏が話をつけてるのだ??面倒なことになるとすぐに人に押し付けて逃げるのがI氏の芸風なのだろう。

 時は経ち、それから半年。業を煮やしたN氏、その時の話をつけようとしたが、

「そんなことも、あったっけ?」
 あっけらかんとするI氏…。
・後日談
 あの日、I氏はHくん・K.E.と一緒に渋谷で呑んでいたらしい。
 I.N.もかわいそうに。
 結局チケットも当日は発売されなかったらしく、発売が延期になった。

※93年x月xx日~x月x日

 歌姫伝説4の2~3週間前のことである。
 K氏は「第4部の候補曲と歌唱該当者のリストを早く作れ」とI氏にさんざん言われやっとこさっとこ作った。…がぁ!作った当日、I氏は突然姿をくらましてしまったのだった。「おいおい、急いで作れって言ったから作ったのに」グチるK氏。N氏も誰が何を歌うのか早く決めて欲しかったので、留守電に入れる、ポケベルを鳴らすなど、あらゆる手段を試みたが何の連絡もない…。I氏の勤務先に電話したら「連絡がとれない」と向こうも困っていた。
 ある日、K.E.からP.S.M.に電話が入った。なんとなくI氏とK.E.の間が怪しいと思っていたN氏、「Iさんと一緒でしょ!」と追求したら。「一緒だったんですけど、どっかいっちゃったんです。」とのこと。とりあえず4部の曲が決まらないから連絡くれって言っておいて、と伝言を残したが、結局1週間ぐらいあと、I氏が自宅に戻って来るまで連絡は取れなかった。どこ行ってたのか聞いたら、「Tのレコーディングに行ってたんだよ」とすっトボケていた。マネージャー氏の話によると、Tのレコーディングには1~2日しかいなかったらしい。で、オマケに「IはK.E.と一緒に車でK.E.の実家に行ったよ」と言う。なにやっとんじゃ、歌姫伝説の本番が目前に迫って、次の日曜はもうリハだとゆーのに、まだなんも決まってないんだぞ…。
 4部のエンディングの「Truth of Dream」はいつもI氏が立ち位置や歌うパートを決めており、今回も「やる」と言ったのでそれは残し、それ以外はなんとかN氏ができるところまで作り、リハにこぎつけた。ところがリハの時、エンディングの部分はやらなかった。「大丈夫なんですか?ちゃんとやっておいてくださいよ」I氏に釘を刺すN氏…
 そして歌姫伝説4当日、4部は曲順が飛びまくって大騒ぎ。単にカンパケDiscの曲順を入れ替えるのを怠ったN氏が悪いのだが、根本的には1週間も姿をくらますアホたれのせいじゃ!
 事件はそれだけではなかった。エンディングの立ち位置と歌うパートを決めていないとI氏が言い出した。「てめー、ふざけんじゃねーぞ」と誰もが思ったが、ここで言い争ってる場合ではない。もう本番当日なのだ。I氏は5部があるから動けないという。
 「しかたない、私が行くしかない」と楽屋裏へ走り、2~3分でエンディングの構成をするN氏。出演者にペコペコ頭を下げ、立ち位置と歌うパートを説明。「なんで私があやまらにゃならんのじゃ!」と思ったN氏だが、Iが悪いんです、なんて言うのも大人気ない。とにかく本番を無事に終わらせるのが最優先なので、ここはじっと我慢の子のN氏…。
 さんざんなことがあったが、なんとか歌姫伝説4は終了。今回のことはちょっと我慢ならなかったので、今回は絶対反省会をやりましょうね!とN氏はI氏に提案。こんなことが続くようならもうやってられない。しかし、あいかわらず、反省会は行われず、月日は経って行くのであった…。
・オマケ
 「あいつはタレントと結婚するsのが夢だからね」 (元I氏の上司談)



(第3部 了)




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